こんにちは。ソフト担当の篠川です。私はサッカー部門について、特にカメラやジャイロについて書いていきます。

SKY Crewのサッカーロボットすべてに共通した特徴は、カメラの搭載です。 私もカメラ担当者として、ライトウェイトにおいて先進的なカメラの活用をしてきたとそれなりに自負しています。

しかしほかのチームを見ていると、カメラは(今普及しつつある?ものの)使っていないというチームもまだまだ多く、 積んでいてももっと有効活用できるのではないかと思うことがしばしばあります。

もしかしたら、カメラが今後のロボカップサッカー競技のレベル向上の大きなカギになるのではないでしょうか。

この「カメラ」カテゴリでは、さらなるカメラの普及と全体の技術向上を目指し、 全方位カメラの製作や処理の内容、カメラを利用した戦略などについて解説していく予定です(布教活動)。

今回はその第一弾として、カメラの導入をしない、または検討している、特にライトウェイトのチームに向けて、 カメラを導入する理由を説明します。

私たちのロボットは、最初に出場した関東ブロックの時からカメラを積んでいます。 ここでは、使っていてわかってきたメリット・デメリットについて(そしてなぜカメラが役に立つのか)説明していきましょう。

メリット

姿勢制御

フォワードロボットは基本的に、 常にゴールの中心を向くように動きます。 これにより、ボールを捕捉した後のドリブルが効率的になります。

キーパーロボットは、(全方位カメラを使った世界大会を除いて) カメラを後ろ向きに取り付けました。
これで自陣のゴールとの位置関係を計測し、ゴールからあまり遠ざからないように調節しました。

ここらへんのカメラを利用した戦略については、今後の記事をお待ちください。

正確なシュート

カメラを搭載していないロボットの動きを見ていると、ドリブルしてボールをコートの奥まで運ぶはいいものの、 ゴールの位置がわからないため、ゴール左右の外側にシュートしてしまって惜しくも入らない、ということがよくあるようです。

しかしカメラがあれば、先ほどの「姿勢制御」により、
どんな位置でボールを捕捉しても、スムーズにゴールへ向かいシュートすることができます。

距離センサーで壁との距離を測って横軸方向にどれくらいの位置にいるのか割り出すチームもいますが、 あれって隣に別のロボットがいたり、ロボットが少し斜めを向いていたりしてたら正しく出ないんじゃないでしょうか。

現在位置の大まかな特定

これに関しては、今年のルール改定でランドマーク(赤とか水色とか)がなくなり、少しやりづらくなりました。 しかし、ゴールまでの距離を3段階くらいで大まかに測ることで、 マルチプルディフェンスの回避ゴールキーパーの効率の良い動きが実現できます。

これらの恩恵は、実は結構大きかったです。

これに関しても、今後別の記事で解説する予定です。 ただし、世界大会のプレゼンテーションシートでもこの件について触れておりますので、 (英語ですが)そちらを見ればどのように位置情報を利用しているかがわかるかと思います。

プレゼンテーションシートPDF(32.4MB)

相手ロボットの回避

どういうことかといいますと、相手ゴールを部分的に隠している何かがあったらそこに相手ロボット(特にキーパー)がいるとわかるということです (これもプレゼンテーションシートに書いてあります)。

それがわかれば、それを避けてシュートすればいいですよね。

これはうまくいった時の効果が非常に大きいです。 するするっと相手キーパーをかわしてシュートする様子はちょっと感動モノですよ。

柔軟性

「こんな動きができるようにしたい!」というアイデアが浮かんだとき、カメラがあると非常に実現しやすいです。

例えば、日本大会のロボットはモーターが大きく、後の世界大会のときのようにラインセンサーを円形に配置することができませんでした。

センサーが不完全だったため、ラインの辺の部分であれば検知して内側に戻れるのですが、角にいるときに内側がどの方向かわからず外に出てしまうという事態が起こりました。

そこで私たちが取った戦略は、カメラでゴールとの位置関係を測ることでコートの角にいることを検知し、コートの角に行かないということです。

コートの角まで行ってボールを取りに行ったところで、ラックオブプログレスを取られたら意味がありませんから、 中立点の少し手前で待機して、相手より早くボールを捕捉しようという作戦でした。

何が言いたいかというと、カメラによって急な問題に対処しやすいということです。

「それくらいラインセンサーを設計する時点で見越しておけ」と言われれば、その通りですが…(^_^;)

Technical Challenge

ルール(こちらの24ページ) を見た方はわかるかと思いますが、「カメラがないとできない」というような課題が結構ありましたよね。

そこまで大きく勝敗にかかわるものではないかもしれませんが、一応メリットとして挙げておきます。

今後どうなるんでしょうね…

デメリット

調整が大変

もちろん、残念ながらデメリットもあります。その最たるものがこれでしょう。

実は、コートによってゴールの高さや光の当たり方による色の映り方が違うということが頻繁にあります。 ですので、各試合前にコートの色や形を設定する必要が出てきます。

ここでうっかりすると、最悪の場合オウンゴールもあり得ますから、焦らず慎重に行うことも大切です。

つまり、試合開始の10分くらい前からゴールに陣取っていろんな調整をすることになります。

もちろん会場の各コートの正確性や照明などによっても変わりますが、 ラインセンサーの調整などもしたい中、これはなかなか大変です。

ロボットは各チーム2台あるので、ソフト担当者が2人以上いれば、分担することでだいぶ楽にはなります。 ただしそうすれば片方はカメラにつきっきりだと思っていいでしょう。

時に相手ロボットと干渉する

これは例えば、相手ロボットの青色LEDが青ゴールに見えてしまい、 相手ロボットに向かってシュートしたり、敵避けをしなかったりするということです。

これも時に大問題になります。前もって何らかの対策を講じないと、決まるはずのゴールが全く決まらず、 相手キーパーにプッシングし続けることになってしまいます。

対処法はもちろん、試合前に干渉しないかチェックすることです。

人の目には青に見えないような白色LEDなどでも、カメラには青く映ることもありますから、 相手のラインセンサーやボール捕捉センサーが怪しいと思ったら、 前もって光をつけてもらって、干渉しないか確かめる必要があります。

ちなみに試合中でも干渉は主張できますが("Interference!")、 試合が始まる前に明らかにした方が仲も悪くなりませんし、世界大会ではTeam Spiritにも関わってきますので、 「わざと試合中に干渉を主張して相手を故障にさせよう」といった考えはおすすめしません

実際に干渉していたとしても、「これくらいのLEDだったらちゃんとゴールと見分けてほしい」と判断されることも結構ありますので、 きちっと前もって対策を講じましょう。

まああのカラフルなランドマークは廃止されましたので、その点では少し楽になったとはいえるでしょう。

視界を隠される

メリットのところで「姿勢制御」を書きましたが、一つ考えなくてはならないのは、
相手ロボットの背が高く、カメラの視界をふさがれるケースです。

対処法としてまず思いつくのはできるだけカメラの位置を高くすることですが、それでも完全ではありません。

そのため、結局はカメラだけではなくジャイロセンサーも同時に搭載することになるでしょう。
最初に参加した関東大会ではジャイロを搭載しておらず、オウンゴールを何度かしてしまいました。

ただし全方位カメラであれば、自陣ゴールが見えないという状況はあまりないと考えられるので、 ジャイロなしでも不可能ということはないかもしれません。それでもやはり積んでおくと安心です。

ジャイロに関しては、別の記事で詳しく書く予定です。

やや重い(?)

これはどうしようもありませんね。

具体的には、私たちの使用した「OpenMV Cam M7」の重さは16gです。これを重いと感じるか軽いと感じるかはあなた次第です。(笑)
一応Pixy(27g)よりは軽いのですね。

OpenMVとPixyの比較も後日詳しく書く予定です。
結論を先に言ってしまうと、可能ならばOpenMVの方をお使うのが良いでしょう。
私達が大会に参加しだしたときはそう考えたのですが、今年度Pixy2がリリースされ、状況が変わってきているようです。そちらもぜひ調べてみてください。

まとめ

カメラのメリットをまとめると:

  • 戦略の幅の広がり
  • 良い(まともな)シュート

一方、デメリットは:

  • 状況によって不安定

使ってみた私たちの感想としては、やはりあったほうが良いです。

不安定さというデメリットよりも、メリットの方を取ったわけです。

私たちSKY Crewは結構アイデア志向のチームなので、その意味でもかなりカメラとの試行錯誤は楽しいものでした。

その分不安定さの解決は頑張りました。きっちり前もって対策をして、スムーズにカメラの調整を行えるように努力する必要があります。

また、今までのロボットは重さの制約上キッカーを搭載することができませんでしたが、 キッカーを載せるならカメラの効果はとても大きいでしょう。

ロングシュートが相手キーパーを避けてスカーンを決まったら楽しそうですよね!

将来的にこのサッカー競技が発展して、レベルが上がっていけば、 どちらにせよオープンのようにいつかはカメラ必須のような状況になるのではないでしょうか。

先進的なサッカーをしたいと考えるのならば、 カメラは積むべきと言えるでしょう。

さて、今後は先程も申し上げたように、「カメラ」カテゴリで処理の内容や戦略について解説していきます。

それから、きっと近いうちに自分以外の暇なメンバーが世界大会の試合以外の評価について解説記事を書いてくれることでしょう(プレッシャー)。
ご期待ください。

ちなみに、今回ブログ全体のデザインを若干変更しました。

トップページもかっこいい感じにしたいと思います。

記事に関してもデザインに関しても、良くないところや改善点、どんな感想でも送っていただけると大変嬉しいです。

スマホの表示のカスタマイズが出来なすぎる
livedoorさん…